ひとりごと
坂田靖子『ベル デアボリカ』1巻
5日ぶりに大きな書店に行ったら坂田靖子先生の単行本が!
なんとまあ、「1」のカウントが!
「大長編シリアスファンタジーついに開幕!」との帯が!
大変失礼な話ですが、
私正直、坂田先生が大長編連載を開始されるとは
夢にも思っていなかったのです。
連載といっても、辞めたいときにいつでも終了できる、
短編連作みたいなものしか、もう描かれないんだろうな、と。
うれしい誤算です。
いやもちろん大好きですよ、
極限まで簡略化されたのんびりした絵ののんびりした短編も。
でもやっぱり
『バジル氏の優雅な生活』が大好きで。
『くされ縁』が大好きで。
『誇り高き戦場』が、
「アモンとアスラエール」が大好きで!!
ちゃんと美形が美形顔で出てくる、
苦悩する端正な男性の姿にときめくシリアス長編。
うれしいうれしいうれしい!!
飛びついて買いました。
タイトルからして『ベル デアボリカ』、
日本列島から飛び出したことのない、
日本語しかわからないダメ人間なので自信ありませんが
「悪魔の美」とか訳せばいいのかなこれは?
麗しい長髪美形男性と、短髪男性のツーショット表紙。
坂田先生の耽美世界だ――! 久しぶりだ――!
BLと呼ぶな!
これは「耽美」だ!
まだ世間にBLというカテゴリが存在しなかった頃の、
坂田先生や萩尾先生が拓いたこの少女漫画の濃い空気は、
「BL」というライトな表現はやはり似合わないと思います。
BLはBLで大好きですよ。念のため。
さて内容はというと、
帯をそのまま書き出してみると以下のようになっております。
陰謀渦巻く世界で悩み多き王ツヴァスは、
禁忌の存在である魔法使いと出会い、そして……
若い王と魔法使い、運命の二人が出会ったその時、
歴史の波は大きく揺れ始める…
中世ヨーロッパ風の、群雄割拠する大陸。
小国の王ツヴァスは国の護りに悩んでいた。
ケルウォース城の背後の谷には
かつてたったひとりで大部隊を全滅させた「魔法使い」が
居住していると信じられており、
物見を立てることが不可能であるからだ。
隣国の裏切りによりどうしても谷を攻略しなくてはならないツヴァスは、
魔法使いの怒りを恐れる近臣たちには内密に、単身「魔法使い」を捕獲しに向かう。
そこにいたのはまるで貧相な子供のような、線の細いヴァルカナル。
強大な魔法使いを、獰猛な魔物同然に見做してきたツヴァスは、
時に赤ん坊のように無防備で無力なヴァルカナルに、
不思議な感情を覚えていく……
……多分ふたりは男色関係にあるんですよ。
ほとんど描写はないんですけどね、匂わしているだけで。
そういう描写が物語のメインではないので。
この空気が好きなんですよ、
描かない事でむしろ色気が増すというか。
「男色関係」とか言っちゃうと二人の関係を侮辱したような気さえする、
この繊細な人間関係が坂田先生の真骨頂ですよねー!
敵ではないかもしれないが、明らかに味方でもない。
でも斬り捨ててしまうことはできない。
普段いろいろいろいろ考え込んでいるけれど、
いざというときは体が勝手に動いてしまう。
別れがたくても、ろくに言葉も交わさない。
この距離感がたまらない……!
喜びのツボがわからないヴァルカナルのキャラクターが素晴らしいです。
食事のシーンの可愛さときたらツヴァスでなくても母性本能が疼きます。
掲載がWebで無料配信なので、
2巻発売まで待たされるんでしょうがあまり苦じゃなさそう。
これからちょっとチェックしていこうかなと思ってます↓
http://asahi-comic.com/hf-club/
さっそく見に行ってみたらやっぱりヴァルカナルが
可愛すぎて悶え禿げる……!2010年6月5日現在。
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